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際鉋の針の入れ方
際鉋には通常側面の針(毛引刃)は付いていませんが指物や建具職人が使う際鉋には針を付けます。
又、縦に段差を削り出す場合にも針を付けます、この場合は定規を際鉋の下端に蝶ネジで付けます。下の画像左の物には穴が上と下に開けてあります、これは定規を取り付けるための穴で、必要に応じて取り付けます。
組子にホゾを付ける場合この際鉋を横擦りで削り、導付き部分も一緒に削りだしてホゾを作って行きます。横擦りして削るためには、先に針で白柿と同じ役目をして筋を付けその部分に際鉋の先が通るように削り、連続的に削り導付き部分を削り出します。
白柿と同じ役目の針が無いと、導付き部分をむしり取ってしまうようになり、綺麗に導付き面が仕上がらないのです。
針は新品で入れるより、少し使って台の動きが落ち着いてから入れる方が良いです。
使用する針
- 平成二十二年現在この際鉋に使用する針を作っている鍛冶屋さんは何件あるのだろうかと思います。まだ手に入るから良いのですが、先では鍛冶屋さんにオーダーメイドで作ってもらわなくてはいけない時代も来るのかなと思います。
- これが今回際鉋に入れる際鉋の針です。上の曲がっている部分を叩いて刃先を出していきます、逆に抜く時は下からこの曲がりの部分を叩き上げて抜きます。
- 外側に曲がっているのはそのためです、もし内側に曲がっていれば抜く事ができません。一度出方を決めてしまった針はあまり抜く事はありません。
- 使用する針のサイズは一種類で右勝手用と左勝手用があります。両側面は蟻になっていますので、際鉋の側面に蟻溝を掘って仕込みます。
刃先の倒し方
- 皆さんはカッターを使う時どのくらい倒して使いますか? 何をいいたいかピンと来る事と思います。
- 左側の角度では突っかかるような進み方になります、右は押さえ込むような切れ方になって進む方向も安定します。
- 際鉋の針も同じで針を仕込んだ時に鉋の底面と刃先が右側のようになるように刃を研ぎます。
- 針を差し込む角度は垂直でも寝ていてもそう問題は無いのです。問題は切削面に対する刃の角度です。
- カッターの刃先も針も筋ケヒキや、釜ケヒキも同じような角度にする必要があるのです。なかなか形状を変えにくいのであれば、先端だけでも画像のようにしましょう。
際鉋の針を研ぐ
- まず最初に裏押しをします、下記右側の画像は裏押しをした画像です。
- 際鉋に仕込んだ後では、台の側面と一致させていても研ぎ減り、台より凹んでしまうために先に裏押しはしておきます。
- 両端が多く下りて中ほどだけが残っていますが、これは裏透きの形が中心が深く削られているためにこんな風になってしまいました。
- 裏透きと反対側、つまり表側もいびつな部分を取り除くために少し研いでおきます。
- やはり台とピッタリ一致させるためには出っ張った部分は減らしておいた方が上手く行きしっかり固定できます。
針の蟻を研ぐ
- 針の側面の蟻になる部分も研いでおきます。
- この部分は鍛冶屋さんがグラインダーで削っただけなので、歪つなところがありますので砥石で問題が無い程度に研ぎ減らしておきます。
- もちろん針の刃先は仕上げ砥石で研ぎ上げる必要はありますが、表側や蟻に辺り針の側面は#1000番程度の中砥石で終わらせて充分です。
針の位置決め
- 針を入れる位置を決めますが鉋は手前に引いて削りますので、毛引きとなるこの針は鉋の刃先より手前に取り付けなければ先に針が罫書く事ができません。
- 画像のような位置が適当でしょう。親指が左側に回りこんできますので邪魔にならないくらいの位置が良いでしょう。
- 仮に両面テープで止めてみて問題が無いか見てみましょう。
- ちなみに針を入れる時期ですが、際鉋を仕込んで使っていくと台の乾燥が進んでいきますので、一月〜2ヶ月ぐらいたったぐらいが鉋の台も動きが少なくなり針を入れてもあとで動いて側面を削ったりする事が少ないと思います。
- 少し店頭に長く置かれたものでしたら乾燥も進んでいますので、動きも少ないと思いますので針も直ぐ入れられると思いますが、側面の修正量が多い場合があり新しい際鉋がいいか古い方がいいかは分かりません。
鋸引き
- ここで大事なのは鋸を倒しいれる角度です、際鉋の針の断面は台形になっています、つまり蟻になっていますので、その角度に鋸を引きますこの斜めの角度ですが、やや倒れれ入れるぐらいが望ましいです。
- もし逆に蟻が立っていれば際鉋側面の表面で蟻の圧力を受ける事になり、この場合は圧力が高いと台の側面が膨れてしまい、台側面の平面が崩れて側面の機能が低下します。
- 鋸入れの倒しがやや立っていれば針は台の蟻溝の底の部分で固定されますので膨らみは起こりません。
蟻溝の深さ
- 際鉋の針の厚みは先も元も同じに作られています。ですので、蟻溝の深さも上端も下端も同じで全体を同じ深さに掘ります。
- 台の上面と下面に深さの毛引きをかけておき、台の上面と下面から鑿で差し平面になるようにします。
深さは針を入れた時に微妙に表面から出るぐらいに鑿で調整します。出た分は砥石で研ぎ下ろし際鉋の側面と揃う様にします。
蟻溝の勾配
- 鋸をケヒキに沿って引くのが難しい場合、ケヒキよりも内側に鋸を引き、鑿で蟻の勾配で差します。
見出-3
- 蟻溝の幅は最初は狭めにしておき、実際に入れて叩きこみ、入り足りない分は蟻溝を徐々に広げて深さを調整します。
針の出具合
- 幅を広げていき下端に出てきたら完成です。針の下端からの出具合はは際鉋で削る一回の深さプラスαです。
- 出過ぎると抵抗が大きくなりますし欠ける原因にもなります。又、加工材に針で引いた跡が残ります。
- もし、針先が際鉋の下端の出具合が多い時は刃先を研ぎ減らします。
際鉋の針の装着の完成
- 針を装着し完成した側面の様子です。刺さる位置関係、刃先からの針先までの距離などの決まりは際鉋では決まっていません。
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