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鉋鍛冶、水野清介

新潟県与板を代表する鉋鍛冶の一人が水野清介氏で、工場は与板の町から少し離れた所にあります。曼陀羅屋では跳駒(はねこま)や知足などの品物を作って頂いていて、定評のある切れ味を発揮しお客様には満足頂いています。

私が伺った時は丁度鉋作りのテレビの取材が入っていたのでゆっくりお話は伺えませんでしたが、案内してくれた大工道具の問屋さんからこちらならではのお話を伺う事が出来ました。

水野さんの鉋作り

作っておられる品物は鉋をはじめ色々な大工道具や刃物類を作っておられます。JKG(ジャパンナイフギルド)の会員でもあるので、特色のある大小ナイフ類も多く手がけておられます。

年末近くになると、次の年の柄との彫金が入った鉋もあり、私が訪れた時は来年の柄との虎の彫金が入った作品が有りました。現在では彫金ができる職人さんも少なくなりましたが、この虎は良く出来ていました。


鉋頭の成型

丁度水野さんが大型のグラインダーを使い鉋の丸い頭の部分を削っているところです。
どちらの鍛冶屋さんでもこの部分はその鉋の見た目の第一印象を決める部分で、品物によってはその銘と関連したイメージの形に削ったり、平らに削ったり、丸みを持たせたり、槌目を入れたりと色々なパターンに仕上げます。
成型にかなり削っていますが、焼き入れまえなので鉋の切れ味に影響の出るような事はありません。私が使っているグラインダーが直径200ミリほどですから、かなり大型すね。


鉋を鍛えるエアーハンマー

多くの大工道具を作る鍛冶屋さんにはスプリングハンマーがあるのですが、水野さんの所にはエアーハンマーが設置してあります。スプリングハンマーよりも叩く力が強く厚い鋼材を伸ばす事が出来ます。
同氏の作る鉋の知足には高クロム鋼が使われており、丸い棒状の鋼材を鍛え伸ばすにはこのエアーハンマーが無ければ鍛え伸ばす事ができません。
このエアーハンマーがあるからこそ作る事ができた知足鉋でもあります。
厚い鋼材も強力なエアーハンマーで鍛えられ、良質の錬鉄で作られた鉋の鎬面は淡く美しい模様が浮き出る。


高クロム鋼

知足鉋に使われている鋼で、通常は伸ばさなくて良いように、鋼部分に使う厚みになった物を使うのですが、この鋼は棒鋼なのです。
本来この鋼材は大工道具よりも軸受鋼に使っていたそうで、同じ成分の平鋼は偏析問題が強くテスト削りでも良い結果が出なかったそうです。
しかし、この棒鋼を薄く鍛え伸ばし、鉋の鋼に使ったところ、偏析も現れず非常に良く切れる品物になったそうです。
試行錯誤を行って生まれた水野さんの代表的な品物になりました。


鉋の穴開き地金

下の画像は昔鉄橋などに使われていた鉄で、穴の開いた部分にリベットが刺さっていました。
水野さんが作る鉋の地金には淡い縞が見えます、この地金を使って作るのですからここで作られる物にはどれも縞が入っています。
地金は風雨にさらされたものが研ぎやすい柔らかい地金になり、この穴開きの地金は鉄橋に使われていた事もあり鉋を作るには良い条件がそろった地金です。


水野さんの作品

水野さんが作る大工道具の一部で、右上には1尺を超える大鉋の作品も見えています。穴開きの作品も見えていますので、上の画像の穴の部分が使われている事が分かります。その他、ダマスカス模様の、つまり積層鋼を地金に使ったナイフなども見えます。
このナイフの作品の地金部分の積層も自分で折り返し鍛錬して作っておられますので、複雑な模様が見えていました。既製品の積層鋼は規則的すぎて物足らなさを感じますが、この水野さんの作品は同じ積層鋼でも一味違った仕上がりになっていました。画像であまり見えずにすみません。


水野さんの鉋の販売商品

知足

清介作「知足」

削ろう会会報でも紹介された鉋、清介作「知足」。特殊鋼系の高炭素クロム鋼を使用。クロムの含有量が多く長切れします、新しく、本人の銘切りになりました。 

跳駒

清介作鉋、「跳駒」

安来金属青紙鋼を使い黒裏仕上げの清介作鉋、「跳駒」(はねこま)。鍛冶屋として熟練の粋に達し安定した切れ味を約束してくれる。
寸八サイズ、白樫包台、桐箱入り、青紙を使用した、堅木から軟材までこなす鉋

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